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    • 2024.01.13 Saturday
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    オシャレ!!

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      いなばのうっかり行ってる年齢層高めの高級ジムに、掛け値なしにオシャレなご婦人がいる。

       

      小柄で、うっすら筋肉のついたスリムなばでぃーで、年齢はたぶん60代なんだけど、初めて彼女に気づいたのは、冬。隣のロッカーで着替える彼女の、黒いコートの裏地が、見たこともないような、華やかなプリントだったから。

       

      「素敵な裏地ですねえ!」

       

      思わず声をかけたら、

       

      「わかる? こういう風に作るのが好きなのよ…」

       

      作る、ってことはお仕立てか、さすがだなあ、と思いながら足元に目をやると、ペディキュアが目にも鮮やかな、カナリアンイエローのしかもメタリック。冬で、サンダル履くわけでもない時期にだ。心意気に痺れる。

      バッグから取り出されたジムウェアは、端正に畳まれて、趣味の良い布に包まれていた。

       

      「この人はただもんじゃないな…」

       

      と思ってその日は別れ。

       

      春先に試しに出た、ヨガのクラスで、偶然彼女に再会した。

      その時彼女の着てたのが、あろうことかクリスティーナ・アギレラの真っ赤なコンサートTシャツ。

      それも使いこんで良い具合に色あせたのを、スリムな体に自然に着こなしてた。

       

      「いよいよこの人、ただもんじゃないぞ」

       

      髪型も、ごくあっさりしてるけど計算されたボブカットで、左右の耳にランダムにつけられたピアスがまたオシャレなのだ。

       

      その後何回か、ばったりお会いするたびにご挨拶する関係になったけど、本当にいつ見かけてもオシャレ。

      テキトーな服着てる時がない。かといって別に派手なわけじゃない、いたく自然体。野生の獣みたい。

       

      昨日またロッカーで隣に偶然なったときは、黒い一見普通の上着の、ボタンがあろうことか全色違いの缶バッジと言うひねり用。思わずたまらずいなば聞いたよ。

       

      「ねえさんいつもすっげえオシャレですけど、一体どこでいつもお洋服買われてるんですか?」

       

      ちょっと間を置いた後、教えてもらった答えがこれ。

       

      「服はね…自社ブランド」

      「へ?」

      「自分で作ってるの」

       

      なるほどなああああああああああ。

       

      「あああ、だっからオシャレなんですね、納得しました」

      「わかる?」

      「わかりますよう、ねえさんの場合、頭のてっぺんからつま先までだもん」
      「あら、ありがとう」

       

      センスのないのには定評のあるいなば、ここは勉強させてもらおうと、聞いてみたよ。

       

      「ねえさんが、服を選ぶとき、気をつけてることって何ですか?」と。

       

      色だろうか、形だろうか、サイズ感かな? と思ってたら、全然違かった。

       

      「それはね、人と同じものを着ないってことよ」

      「ほう?!」

      「ユニ○ロとか無○とかZA○Aとか、そういうのでも別に良いのよ、でもね、一目見てどこで買ったかわかるものとか、買った物を全部そのままでは着ない。人と同じ風に服を着るのが嫌。もうこんな小さい子供のころからよ。絶対嫌だった。だから一度も買ったことないわ、高くても安くても、見たらすぐどこのかわかるような服」

       

      それを聞いた時、いなば、昔ベリーの初代弁天先生と交わした身も蓋もない会話思い出した。

       

      「先生、格好いいダンスには何が必要でしょう?」

      「センスやな」

      「先生、センスってどうやったら身に付きます?」

      「ここだけの話、どうにもならんわ。生まれつきだから」

       

      それ聞いた時、いなば絶望とともに、そんなはずない、と思った。なんでも努力すれば培われるもんで、センスだってきっと色々勉強してればちょっとは身についてくるはずだよ、と。

      でも、彼女のオシャレのこだわり聞いて、ああ、あれって本当だったんだなあ、とすっげえ今更納得してしまった。

       

      勉強して積み重ねるとか、そういう学習的なもんじゃないのだ。もう彼女たち、最初からわかってる。嫌なことがわかってる。

      ダサイのが嫌なんだ。我慢できないのだ。

      もう、それはオシャレになるしかない、スキルというより呪いみたいなもんかもしんない。

       

      考えてみれば、初代弁天先生も、ダンスを見てコメントを言うとき、「うまい下手」はそんなに気にしてなかった。

      「ダサいかカッコいいか」が何より大事だった。

      それはもう本能的で、皮膚感覚的な、生まれついてのものとしか言いようがないだろう。

       

      「それであなたは? どこで服買ってるの?」

      「私は…そのユニ○ロ、無○、Z○RAを…」

      「あら」

      「そのまま買ったまま着ています…」

      「まあ」

       

      もう恥じ入るしかなかった。何しろあたい、人と同じ格好して嫌、と言う感性全然ない。人が着てんだから間違いないだろう、と思ってた。ただ、体の形が凸凹してるんでふつうの日本人向けファッションが似合わないからしてないだけで。

      それにしても、だ。

       

      人と違う恰好をするって、すごくリスキーで難しいことだ。

      周りにいる人と似たような恰好をしてれば、避けられる面倒っていっぱいある。

      日本人女性社会じゃなおさらだ。なのに、それを小さなときから拒否して、60代(推定)の今でもそれを貫き通してるって。

       

      「ねえさん、勇気ありますねえ。すごいや」

      「あら、ありがとう」

       

      オシャレに大事な必須要素が、勇気だと初めて知った日。

       

       


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