今日から妊娠糖尿病患者

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    いなば、妊婦健診で血糖値が高めですねってことで、妊娠糖尿病の検査を受けることになり申した。

     

    血糖値が、高め。

     

    そりゃ、つわりの間、普段食べないようにしてる白米・麺類・サンドイッチ・果物鬼食べたもんな。

    別にあたい本体が食べたかったわけでなく、食べないと気持ち悪いので、「つわりの間は食べられるものを食べましょう」って推奨に従ったらこの結果。

     

    この

    罠。

     

    ちなみに妊娠糖尿病は通常の糖尿病とは違うもので、妊娠するとホルモンの関係で血糖値がめっちゃ上がりやすくなり、大体は出産すると治る。悪化すると、胎児や出産時に悪い影響が出るらしい。

    いなばの友達にもなった子がいる。彼女はそりゃあ普段から食事を節制して、むしろほっそりしていたけど、二回妊娠して、二回とも気を付けていたのになった。

     

    「一日6回にわけてちょこちょこ食べるのよー。すんごい面倒よー。理由? ぶっちゃけ体質と、あと、年だね。高齢ほどなるってさ、あはは」

     

    年か。年には勝てねえ。

    プラス、これはかなり遺伝的な体質がでかいそう。実際いなばの友達で、わりとふっくらしていて、糖分も油分も思うさま好きなだけ食べていたけど、別に血糖値びくともしなかった子も何人もおり。

    さあていなばさんの家系は。

     

    「…それね。私もね、食事すっごい気を付けて、甘いものも脂っこいものもふだん全然食べてないでしょ? でも毎回健康診断でひっかかるのよ…。あんたのお父さんなんか、お菓子も脂物も食べ放題で野菜も取らないし、運動もしないのに…どういうことおおお?!」

     

    うわあ、嫌な予感ガン上がり。

    いなば、肌質と性格は父似だけど、それ以外はほぼかーちゃんそのままの体質だ。

     

    で、受けましたよ糖負荷検査。

    前日の夜以降水以外絶食して、朝いちで病院行ってまず採血。

    それから、くっそ甘いサイダー飲んで、一時間後に採血。

    もう一時間後に採血。

    この三回の血糖値を見て判断するというもの。

     

    いなばから言えることがあるとするならばだ。

    この、検査用のサイダーが狂気じみて甘い。頭痛がするくらい甘い。そのあと昼過ぎまで空腹を忘れるほど甘い。

     

    「常温と冷たいものとどちらを飲みますか?」

     

    と看護師さんに聞かれたら、普段どれだけ冷たいもの飲まなくても、冬でも、迷わず冷たいほうにすることを勧めます。

     

    そして三度目の採血の後、呼び出された診察室で、前回の日記の問答となるわけです。

     

    「いなばさん、あなた妊娠糖尿病です。入院してください」

     

    えええええええええええ?!

    あたい、なんだかんだいって絶対大丈夫と思ってたのに。

    だって、つわりの間の二か月は確かに糖質取りすぎてたけど、それ以前の不妊期間、ものっそい厳しい食事制限してごはん食べてた×4年だ。

    それが入院、入院て?!

     

    「ど、どこがダメだったんですか」

    「えー、糖分取った後の、一時間後と二時間後は基準値以内でした。でも、空腹時の血糖値が92、ですよね。これがちょうど基準値を1オーバーしてるので」

    「え? 1? たった1? 三点計ってたった一つ、1オーバーしただけで?」

    「はい。ここで1オーバーしたので、いなばさんは妊娠糖尿病患者、と言うことになります」

     

    …1点で足切られるって、過酷な受験戦争かYO。

    口から魂抜けてる私に、気の毒そうに、お医者さんが、

     

    「まあ、この数値ならおそらく一泊二日ですみますよ。数値が悪いと延泊になりますけど…。まずは一日三回の食事で血糖値の流れを見て、それでもだめなら一日6回食になりますけど…」

     

    一日6回食、ちょお面倒くさぁああああああい!

     

    その後、まず助産師さんから入院の説明が入り、その後、栄養士さんから栄養指導が入ったわけだが。

     

    出された理想の食事の説明見て、いなばの目が軽く点。

    ごはん140gって、え? 玄米じゃないの? それに140gも食べるの?

    調理用油脂(バター・サラダ油)小さじ2/3杯って、え?バターかサラダ油の二択?

    100〜200gの果物って、果物食べるの? 食べちゃうの????

    牛乳と無糖ヨーグルト合わせて350gって、ええええ、乳製品も良いのおおおお?

     

    いなば、東洋医学系の考え方で不妊治療の食事制限してたので。

    ふだん白米は食べないし、油はゴマかオリーブ油で、乳製品はほぼナシ、加工物と添加物入りの食材も避けに避けて、果物はできれば食うなっつー暮らしをもう四年してた。

     

    入院中のメニューの見本みてたら、頭くらくらしてきた。

     

    白米・牛乳・おやつにSOYJOY、朝は食パン二枚にジャムついてる…。

     

    こんなすごいメニューここ数年逆に食ったことねえ。糖質取り慣れてないいなばでーの血糖値、どうなっちゃうの? と震えていたら、栄養士さんがこう言った。

     

    「ちなみに、入院時の食事は必ず完食してください」

    「へ?」

    「全部食べていただかないと、正しい数値をとれないので。絶対に残さないでください」

    「へえ?」

    「何かアレルギーがある場合は対応します」

     

    東洋医学系の食べないもの全部アレルギーとして申告するの、たぶん絶対無理。

    とりあえず、「冷たい乳製品はお腹を下しやすいんで、豆乳にしてもらえますか?」と頼んだら、そこはOKしてもらえたが、

     

    「でも、チーズやクリームシチューはダメかしら?」

     

    なんで、チーズとクリームシチュー出す必要あんねん。

    カルシウムとタンパク質とらせたいなら日本のソウルフード、豆腐と小魚あるやんけえ!と思いながらも、「いや、加熱加工してあれば大丈夫です…」とひよる私。

     

    不妊と妊娠の間の常識が、外国くらい違ってびっくりした。

     

    とりあえず鍼灸師のさとたんに相談したら、「とにかく噛めるだけ噛め、よくよく噛め、そして睡眠を十分にとれ」とのこと。

    あと、「出産前に入院の予行演習と思いなさい」とも。

     

    この夏どこにも行けてなーい、都内でいいからどっか泊まりたーい、と夏中ボヤいていたあたいへの神様からのプレゼントでしょうか。来週月曜から最短一泊二日で、いなば三食昼寝付きでお泊り、決定であります。

    いやほんとに。

     

    願いって叶う。

     

     

     

     


    屁につっぱられ

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      さて、つわってつわってぐっだぐだないなばの夏もお盆を過ぎて。

       

      皆さん、知っていましたか、つわりにはピークと言うものがあることを。

      あたい知らなかった。9週ぐらいでヨボヨボしてたら、去年産んだ友達がこう言った。

       

      「あーじゃあ、これからもっとしんどくなるね。ピークはたぶん来週、再来週くらいかな?」

       

      マ・ジ・で。

       

      「…え? 嘘、コレ酷くなんの?」

      「えーと、私はなったよ。12週ぐらいが一番辛かったなあ」

      「コレより? 今より? そそそそれ、いつ終わるの?」

      「んー、安定期に入る頃?」

      「安定期って、16週? まだ一か月くらい先? 嘘だろおおおおおお?!」

      「ああ、でも12週過ぎたら少し楽になってくるから、ね? ね?」

      「本当? 本当に?! 本当にいいいいいい?!」

       

      本当だった。

       

      10週、11週のしんどさは、もうすべててんこ盛りの立ってられない24時間フルパワー営業コンビニみたいな感じだった。

      すがるような思いでたどり着いた12週過ぎたら…確かに…吐き気と気持ち悪さは24時間営業をやめてくれた。

      モーニング・ランチ・ディナータイムのみ開店する店くらいになった。

       

      で、それが楽かと言えば。

       

      「…いや、期待していたほどは…全然…」

       

      なんすかね、浮気して家を完全に出て愛人ちに転がりこんでいた夫が、ようやく帰って来てくれるようにはなったけど、まだ女とは続いてる、みたいな。

      切れてないよね、それ結局切れてないよね、その女、いつまであんたの心に居座らせる気よおおおおおお?! それぐらいなら、帰ってこないか、いっそすっきり別れなさいよおおおおお!!

       

      結局きもいーーー、きもいいいいいいー、だるぅううううい、でも中途半端に動けるぅうううう、うああああああ。自分の臭さと良人の臭さもややマシになったけど、まだ気に障るぅううう。

       

      と、思いながらも少しだけ元気になったある日中ちょいと出かけたら。

       

      帰ってきたらすごい頭痛。なんだこれ、帽子かぶってたのに熱射病か? 氷枕してうんうん唸りながら寝たら治った。

       

      その翌々日、ちょいとお友達と短いお茶をと出かけたら。

       

      帰ってきたらまたしてもすっごいすごい頭痛。いやおかしいよ? 今日は雨だし涼しいのに、なんでよ?

       

      さすがに異常を感じて、ググって見た。「妊娠14週 頭痛」。

      出てきた答にいなば驚愕。

       

      えー要約すると「妊娠中に頭痛はよくあるトラブルです。理由はホルモンバランスの乱れ。特に妊娠初期のつわりが終わる頃、自前で出してたホルモンを胎盤が出すようになるあたりで、大きなホルモンの変化が訪れ、頭痛が起こります。全妊婦の7割がつわりの最後に頭痛を二週間ほど経過し、その後安定期が訪れます」だって。

       

      なにそれ。

       

      なにそれ。

       

      「つわり終わるなら、おとなしく終われば良いのに、仕上げが頭痛?  いたちの最後っ屁かよおおおおおおおお!!」

       

      良人の屁をディスったら、つわりに屁をかけられたがごとし。

       

      この頭痛、対処法は冷やすことと、カフェイン。

      そう、妊婦は控えろゆわれてるコーヒーで、脳の血管が収縮して、痛みがマシになる。飲んだらマジ楽になった。

      対処法わかって、ちょっとホッとしたとこで、妊婦健診で引っかかった数値の再検査をいなば受けに言ったら、採血の嵐の後で、お医者さんに言われたよ。

       

      「いなばさん、あなた妊娠糖尿病です。入院してください」

       

      ええええええええええ?!

       


      メタボのせいいっぱい

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        さて、私には神から授けられた素晴らしい能力「鼻があんまり利かない」とゆうのがある。

         

        世の中には鼻の良い女子がいて「やだ、今私汗臭いよね、ごめん!」とか、「あー今自分で自分が汗臭い、最低ー」みたいに言われて来たが意味全然わからない。

        かといって、お花の匂いとか、女子のシャンプーの匂いとかはちゃんとわかる。

        はっきり言って得だな、これ、とずっと思ってたのですが。

         

        妊娠してつわりはじめたら、一気に匂いがわかるようになった。

        そして、生まれて初めて「自分が臭い」の意味がめっちゃわかって涙目。

        もう、自分で自分の匂いが臭くて臭くて嫌。

        寝てるしかできない、その枕や寝具にこもった自分臭、耐えられないほど嫌ぁあああ!!

         

        妊婦あるあるなんすけど、妊娠すると髪って抜けなくなるんですね(そして産んだら一気に抜けるそう)。

        確かに床掃除してても、お風呂場の排水溝掃除してても、通常の五分の一も落ちてない。

        結果、もともと毛量多めのあたいの髪が密に! 超人口過密になったところに、猛暑+体温高い妊婦。

         

        ああああああ、狂おしいほど汗臭いぞおおおおおおおおお!!!

         

        頭に来て、つわりの調子がやや落ち着いたときに、髪ばっさり切ってすけるだけすいてもらったら、ややましになった。でもまだややまし。自分が臭くて泣けてくる状況引き続き。

         

        そこに追い打ちをかけるようにだ。

         

        最愛の、良人も、臭い。

         

        結婚したての30歳のころはひなたのような匂いがしたかわいいかわいいメタボが。

        35過ぎたあたりから加齢臭が出始めてきて、でもそれも味よね☆とか思ってたメタボが。

        本格的に臭い! 起き抜けとかすごいぞ!! 抱きしめられると息止めちゃうほどに!!!

         

        その上にだ。

         

        35過ぎたあたりから、メタボはおならが増えてきた。

        それも最初は恥ずかしがって隣の部屋でしてたのに、今じゃあ目の前でぶうぶぅ平気でするようになって、でも、それはまだよかった。

        許せないのは、すかされた時、だ。

         

        「ああああ! 今おならしたでしょう?!」

        「ナゼわかっタ? こんな距離あるノニ?!」

        「わかるわ! 妊婦なめるな!! 換気扇回して!! っていうか、次からするときは隣の部屋でやって!!」

         

        で、数日後。

         

        「またおならしたなあああああ!!」

        「ええ? 隣の部屋でしたヨ?!」

        「した後ドア閉じろ!!! 漂ってくるんじゃああ!! ってゆうか、黙ってしないでやったら申告して!!」

         

        その、数日後。

         

        「だから、申告しろってゆってるでしょおおおおお!! 臭いんじゃ、殺す気かぁああ!!」

        「ええ? 換気扇回してるノニ?!」

        「換気扇回してても漂ってくるんだよ! 自分の激臭と妊婦の鼻なめんなよおおおおお! もうやだ! 絶対やだ! この黙ってされて臭いの耐えらんない!! ちゃんとしたらしたって言ってよおおおおおお!!!」

         

        キレるいなばにメタボしょんぼりした顔で、

         

        「…でも❝おならした❞って言うの恥ずかしいヨ…」

         

        乙女か!

        だったらトイレに行ってするぐらいの女子力身に着けろちきしょう!! わかったよそんじゃあ、なんか合言葉決めれ!!

         

        「笛を吹いちゃっタ、とかどう?!」

        「そんなレベルの爆臭じゃないっちゅうねん、シンプルに❝逃げて!!❞で決定!!」

         

        で、その数時間後。

        メタボが血相変えて叫んだよ。

         

        「いなばちゃん、逃げテ!!!」

         

        即撤収、隣の部屋から恐る恐るメタボを方面を眺めると、その場で両の手をグーに握り、ものすごく悲しそうな顔でスンスンと鼻を鳴らしてる良人の姿が。

         

        「泣いてるの? めたぼさん」

         

        聞いたいなばに、彼は悲しそうな声でこう答えたよ。

         

        「違うヨ、一生懸命自分で吸い込んでるノ。でもなかなか吸いきれないんだヨ」

         

        臭いけど、激☆臭いけど、やっぱメタボは年とってもつわってても可愛い可愛いメタボだった。

         

         

         

         


        つわってもっとべいべー

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          いなばでございます。

           

          つわってつわってこの夏が終ろうとしております。

          不妊治療のしんどさは一通り経験して、「妊娠さえしちまえば、これより辛いことももうそうはねーだろう」って思ってた、ちょっと前の自分に言いたい。

           

          甘い、と。

           

          妊娠は、辛くないけど、しんどいぜ、と。

           

          なんつーんですかね、周囲に妊婦も経産婦も友達にいたんですけど、やっぱり、みな不妊のあたいに気を使ってたんだなあ、と今ならわかる。

          「つわりしんどい」って、誰もあたいに愚痴らなかったもんナ。

          言われてもピンと来なかったろうし、なんもしてあげられなかったろうけど、それにしてもこんなえぐいことを皆個人差あれど黙って耐えてたなんて偉すぎ。

           

          さて、つわりの何がしんどいって、あたいの場合吐くほどえぐいアレではないし、食事もちゃんと食べられるので、しんどさとしては中の下ぐらいかと思われます。

          でも、その内容が、まったく予想してなかった感じのアレだった。

           

          まず、だるい、体が動かない、眠い、一番ピーク時はベッドの上とトイレでのみ生存。

          それはまあ、寝てればいいから、飽きるしつまんねえけど、まだ良いとして、食べ物問題が加わる。

          食べられる、食べられるんだけどね、特定のものしか喉を通らなくって、それが数日交代で変わって行くとは初耳ですよ?!

           

          梅干しおにぎり→もずく→にゅうめん→ゼリー→うどん→焼肉→イカのお刺身→コンビニのサンドイッチ→冷やし中華→ミネストローネ…みたいな。

           

          バランスよくいろいろ食ってるように一見みえるけど、一つのアイテムをずっと数日連続食べ続け、ある日「もう見るのも嫌」ってなる。意味がわかんない。円満な別れが出来ない。友達に戻れない。そしてまた食べられるものを探すって言う工程が始まる。

          「これだ!」ってものが見つかるまで、ずっと気持ち悪い。ちなみに食べる直前まで気持ち悪い。食ってる間も気持ち悪い。でも食べ終わると収まる。そして数時間たつとまた気持ち悪くなる×エンドレス。なんだこりゃ。

           

          わけもわからず翻弄されてたある日、その衝動があたいに襲い掛かったよ。

           

          「…わけもなく、でも狂おしく、今、マックのポテトが食いたい!!!」と。

           

          ケンタでもダメ、モスでもダメ、マックのポテトじゃなきゃダメ。ひょろっと長くて、しなっとしててて、しょっぱいアレが食べたぁああああああい。

          ベッドの上でパジャマのまま、いなばのたうち回った。

          だって、うちの町、マックない。

          ファストフード屋が存在しない。

          おしゃれなパン屋とケーキ屋はいっぱいあるのに、マックがないから、ポテトが食べられなああああい!!!

           

          涙目で友達にLINEで愚痴ったら、「デリバリーサービスあるよ、私妊娠中頼んだよ」と朗報が。早速ググって絶望する。

          配達範囲が見事に隣町でおわってる。なんだ、うちの近所は陸の孤島かなんかか。

          こうなりゃもうマックじゃなくても良いかと日寄って、デリバリーでポテト運んでくれる店を探すが、ヒットするのはケンタッキー、最小オーダー単位が1500円ぷらす送料300円。

          あたいが食べたいのはポテトだけ。なのに1500円分も注文できるかあああ! しかもやっぱケンタのポテトじゃなあああああい!!!

           

          結局。

           

          クッソ暑い真夏の昼間に。

          あたい、自慢のクロスバイクに飛び乗って。

          隣町のマクドナルドまで激走しました。完全にアウト妊婦。でも野生の妊婦だった。

           

          たどり着いたうん年ぶりのマック(三十路を過ぎるとマックていかなくなりますよね)で、またしてもいなば絶望する。

          メニューが変わりすぎて、注文が出来ない。

          いやマジで。知ってます? 今のマックのセットって、なんかバーガーがえらいゴージャスなんすよ。「ダブルチーズバーガー」とか「グラン照り焼きセット」とか、なんかすごいスペシャルなバーガーが横並びなの。

           

          あたい、ただの、ハンバーガーとポテトとドリンクがほしいだけなのに。

           

          店員さんに「普通のハンバーガーはメニューのどこにありますか?」聞いて直後、いなばみたび絶望する羽目になる。

           

          「…フツ? フツのハンバーガー? なんデスそれ?」

           

          …なんたるちあ。あたいがしばらく来ねえ間に、都内のマックの店員さん、気が付けば外国人しかいなくなってた。見た感じ、インド人、中国人、韓国人、店員同士は自国語で会話してる。あれここ外国? 英語通じるかな? でもこのねーちゃんはおそらくコリアン。

           

          「ハンバーガー、ただのハンバーガーはメニューのどこですか?」

          「ハンバーガー、オヒトツデスカ?」

          「いや、そうじゃなくて」

          「ハンバーガーゴチュウモンキャンセルですか?」

           

          ちがーう! 注文する前に値段とセットの状況を確認させてくれえええええ!!

           

          「ああ、もう、いっそこのハッピーセットで良いか。希望の結論に近い。えーと、ハッピーセットで、今キャンペーン中の、ポテトを大きいサイズにしてください」

          「ハッピーセットのポテトは小さいサイズしかできまセン」

           

          …あたいはなあ、つわりでぐっだぐだななか、炎天下自転車駆って、ここのポテトをガブ食いしに来たんじゃああああああ!メインはバーガーじゃない、ポテトじゃあああああ! Sサイズでこのつわりが収まるかああああああああ!!!!

           

          で、結局。

          あきらめて、あたい、全部単品で頼んだ。「ハンバーガー一個」と「ポテトのL一個」と「爽健美茶一個」。もう好きにぼったくってくれ、と。

           

          そしたらね。

           

          350円でした。

           

          ちょうどポテトがLサイズでも150円キャンペーンしてたのもラッキーだったけど、今って普通のハンバーガー一個100円なんですって! だからってメニューから追放すんなよ。どんなローカルルールだよ。

          とはいえ、自分がメインでマックで食ってた20年近く前より普通のハンバーガーとポテトとドリンクの値段が安くなってたことが最後にして最大の衝撃でした。

           

          ちなみにそこまでしてようやく食べれた細長いちょっとしなったしょっぱいポテトは、アホみたいに美味かった。胎児の気持ちが全くわからない、2017年の夏。この世に妊婦がいる限り、マックのポテトよ不滅なれ。

           

           

           

           

           

           

           

           

           

           


           

           

           

           

           

           

           


          今度はなんかイケそうな気がする

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            ご無沙汰しております、いなばです。

             

            えーと、体外受精で採れた卵をがっちょり受精さして、程よく分割したとこで凍らせずにあたいの中に戻したアレですが。

            うまいこと定着してくれて、12週になりました。

             

            つまり一言でいうと、いなば、妊娠しもうした。

             

            えーーーーー。

            驚くほど、嬉しく、ないぞ。

            34歳で一回流産してから5年間「できねえなあ、できねえなあ」と思って生きてたので、いざ出来たら「ほんまか? 嘘やないか? またあかんくなるんとちゃうんか?!」みたいなヤクザな気持ちで、一番最初に打ち明けたマイママンに「おめでとう」言われた瞬間、「おめでとうって言うなんて酷いわぁあああああ!!!」ってキレたくらいです。ママ涙目。ごめんすぎ。

             

            もう絶対流産する気でいたわけです。

             

            いやあ、なんか1、2回悪い男に浮気された友達が、以降彼氏ができるたびに即浮気を疑いだして不幸せモードになるのを見て、「いや、前は前だろ、今度は別の男だ、落ち着こうぜ」って思ってたけど、生まれて初めて気持ちわかった。

            落ちつけるわけない。信じたくても無理無理無理。まさにトラウマ。

             

            そしてそこに襲い掛かるつわり。

            つわりなら流産した前回も経験したぜ、って高をくくってたら奥さん、大違いですよ。

            年のせいか受精卵のやる気の違いか、吐くとか気持ち悪いとか以前に、立てない。動けない。ものすごい倦怠感。

            「こんだけ酷いつわりがあるなら、赤ちゃん元気ってことよね!」

            とか自分を励ますと、妊娠アプリからの情報が来る。

             

            「つわりがあっても流産してる場合あり」

             

            絶望する。

            気を取り直して平常心を取り戻すと、

             

            「つわりが消えたら流産の可能性あり」

             

            と妊娠アプリからまた情報が。どっちやねん! お前はつわりの味方なのか敵なのかはっきりせんかい!!あってもなくても流産なら、もう絶対流産してる気になるぞこんちくしょうううううううう!!!

             

            そんなわけで半ギレ半死、一言でいってゾンビみたいなテンションで夏が過ぎていき、胎嚢を確認し、心拍を確認し、昨日12週で順調に育って、動いてる赤ちゃんをこの目で確認し。

             

            …ようやく、「あ、これ今回イケるかも」という気になりました。っていうか、心配するのに疲れて飽きた。

             

            だいたい安定期まで待ってたら、日々のあたいの気持ちを書く枕に書くことなんにもねえ。つまんねえ。飽きた!!

            というわけで、安定期待たずにご報告です。

            どうせ安定したら早産の心配するし、五体満足か心配するし、産んだららおっぱい出るか寝るか育つか心配するし、キリねえもんなコレ。

             

             

             

             

             


            おやすみなさいありがとう

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              リンキンパークのボーカルさんが亡くなってしまいました。

               

              いなばが洋楽なんて全然興味なかったオタク最盛期の学生の頃、テレビで見かけて、そりゃもう一発で心を撃ち抜かれた歌い手さんでした。

              今までに一回も見たことないタイプの人だった。

              激しいロックでシャウトしてるんだけど、見た目はひょろっと眼鏡なんかかけて、お洒落だけどどっちかゆったらオタクっぽい。

              なのに、すっげえソウルフル。身を振り絞るようにして歌う。曲もすごく心に響く感じだった。

               

              「somewhere I belong」

               

              というタイトルのその曲は、歌詞の意味もよくわからないけど、行くあてがない、どこにも所属できない当時の自分のやけっぱちな気分にぴったりで、なんべんも繰り返し聞いて、その頃の私の一部みたいになって、そして、そのまま忘れてしまっていた。

               

              それが、今朝起きたら突然の訃報。

               

              自殺であったらしい。薬物中毒と、アルコール中毒、それに幼少時代の虐待のトラウマに長らく苦しめられて…と。

              まだ41歳、全然若い。新しいアルバムも出して、ツアーも決まっていたと言うのに。

              でも、その41年が、ずっと苦しみに耐えて、戦いながら生き抜いてきたとするなら、十分長かったとも言えるのかもしれない。

               

              朝から彼の曲を聴いていると、アルバムの中の曲を全部覚えていて、細かい歌い方まで記憶に残っていて、こんな風に音楽をアルバム一枚丸ごと歌詞もわからないのに丸暗記する聴き方は、もう出来ない、と思った。

               

              もうそこまで集中力持たないし根気ない。

              自分のすべてを何かに没頭できるような年代の時に、自分の気持ちをそのまま代弁するような曲を、自分の心の煮えたぎってる熱さと同じくらいの熱量で歌ってくれる人が現れてくれた、それは人生で何回もない、すごく幸運なことだったと思う。

               

              ずっと忘れていたけれど、ずっと私の一部になってる。世界中にそういう人がいっぱいいる、そんな素敵な人でした。

              おやすみなさい、ありがとう。チェスターさん。

               

               

               

               

               


              ゆずれない願い

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                いなば、久しぶりに歯医者に行ったら、可愛子ちゃんの受付さんが笑顔で寄ってきてこう言ったよ。

                 

                「いなばさん! 私ようやく元彼との別れから立ち直って、新しい出会いを探し始めたんです! 今週末も合コンなんです。で、その前に何かアドバイスください!」

                 

                …ここの歯医者さんは、メタボさんと二人で通ってるんだが、メタボがあまりにも愛妻家なのであたいがものすごい婚活強者みたいに思われていて、また未婚の歯科衛生士さんが多いもんだから、なんか毎回こういうことになる。

                前回のおっぱいちゃんは色白でたおやかーな子だったが、今回の彼女は健康的な肌色に明るい笑顔の親しみやすい子だ。

                 

                「おお! あの結婚考えてるって7年引っ張ったあげくに最後に母ちゃんの反対でちゃぶ台ひっくり返したしょうもないマザコン男とうとう吹っ切ったんだ! やったじゃん!! で、どうよ、最近の調子は?」

                 

                いなばが聞くと明るい笑顔をちょっと曇らせて、

                 

                「それが…、なかなか良いなと思う人に良いって思ってもらえなくて、それで、こないだ「なかなか良いな」って人とお食事にイケたんですけど」

                「やったじゃん! どうだった?!」

                「それが…、一緒に食事してたらまず言われたのが❝俺、この世で一番美味いのは母ちゃんの飯だと思ってるから❞って言われて」

                 

                思うのは自由だが、それ、言う必要あるか?

                 

                「それから、前の彼女を実家に連れて行ったときの話をするんですけど、彼女が帰った後にお母さんにどうだった?って聞いたら❝まあまあね❞って言われたって」

                 

                なんじゃそのクソババア、なに様ぁあああああ?!!

                 

                「ですよねえ!!」

                「あ、口に出して言ってた、失敬。って言うかさ!! 君、なんか毎回マザコンばっか引き受けるねぇ?! どうして?!」

                「わからないんですけど、自分でも確かに…そうかもしれないって思って、このままじゃいけないと思って、いなばさんに相談しようと」

                 

                と言われても。

                いなば、マザコンにモテたことは人生で一回もない。

                前の旦那さんはお母様に無関心だったし、メタボさんに至ってはアンチマザコンで、おそらく私はお母様との戦闘力を見込まれて結婚してもらえた気がするくらいマザコンにウケない人柄だから、さっぱり対応策が思いつかないぞ。

                 

                「うーん、君可愛いし、スタイルも良いし、性格も良い上に腰が低いからねえ。その優しすぎて対応力の高すぎるとこがマザコンにモテる気はする。だってさ、合コン行ったらどんなキャラでいる?」

                「その場の雰囲気次第、ですねえ。ほかの女の子が無口だったら一生懸命話して盛り上げて、ほかの子が良く喋るなら聞き役に回ります」

                「それよ!! 合コンの全体の雰囲気を気にしてる段階でダメよ!あたいの知ってる決める女は周りの空気なんか読まずに最初から好きな男を速攻見極めて、その隣にずっと座って必ず連絡先交換してたよ!!」

                「そ、そんな?!」

                「女友達全員から嫌われても、好きな男一人と結婚する気合よ!!」

                「わ、私にできるでしょうか?」

                 

                たぶん無理。

                なんか人の恋愛模様見てて最近しみじみ思うんだけど、基本人には向き不向きあって、その人らしさを生かした方が自然にうまくいくというか、無理に人のまねするとかえって難しくなるというか。

                 

                「まあ、あたいも理系のどエムにしかモテねえし、おっぱいちゃんはオラオラ系にしかモテない。だからさ、ここは君ももうマザコン部分はあきらめて、質の良いマザコンを選べば良いんじゃね?」

                「なるほど!! でも、良いマザコンに好かれるにはどうすれば良いんでしょうか?」

                 

                知らん。

                だっていなばマザコンにモテたこと(以下略)

                ちょっとそこは今後の課題ってことにして家に帰っていろいろ調べたけど、やっぱマザコンとそれに好かれる人の気持ちはいまいちわからんかった。

                で、ちょうどそこにさとたんがうちにお茶に来て。

                 

                「お! そうだ!! 君ってマザコンのオラオラ系に異様にモテるタイプだよね!!」

                「失礼ね!! そんなこと!!…あるかも…しれないけど…」

                「だよね、じゃあ教えてくれる? 良いマザコンを捕まえる方法!!」

                「あら、そんなの簡単よ」

                「なになに、どうすんの?」

                 

                まっすぐな目で、さとたんはこう言った。

                 

                「ゆずれないことは、絶対にゆずらないことよ」

                 

                !!!

                すっげえわかった!

                少なくともあたいがどうしてマザコンにモテないかわかった!

                基本何もかもどれひとつぜったいに譲らないからだああああああああ!!

                 

                その点さとたんは、どうしてもこうじゃなきゃ嫌な点を除いては、わりとわがまま聞いてくれるしゆずってくれる感じ。

                そして、件の可愛い受付嬢は、何から何までゆずってくれる感じ100%だった。

                世の中うまいことできてるなあ。

                 

                というわけで、その次歯科医に行ったときに可愛子ちゃんにあって、奥義「ゆずれないことは、絶対にゆずらないこと」を授けたところ、彼女もいたく感銘を受けていた。

                しかし。

                 

                「そういえば週末の合コンどうだった?」

                「聞いてくださいいなばさん! 私、ちゃんとイケメンの隣に座って最初から最後まで彼のそばにいました!」

                「やったじゃん! で、連絡先交換したの? 次のデートの予定は?」

                「それはまだで…」

                「ダメじゃん! 何やってるの?」

                「なんかずっと合コンの間、ゴリラみたいな押しのすっごい強い人に話しかけられてて…」

                 

                ゆずれないことをゆずらないっていうのは、優しい女子には難題だなあ。

                 

                 

                 


                地獄にほとけ

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                  いなば体調悪くて、いちんち家でおとなしくしてる日々が続いております。

                   

                  大好きな2chもさすがにこう毎日読み続けてると飽きてきて、文字を読むのもだるくなり、動画を見ることにしたよ。

                  こういう時は、アイドルだ。

                  アイドルの一生懸命さと可愛さに癒されるしかない。

                   

                  というわけで、まずモーニング娘。のここらへんを見て、小田さくらちゃんのミラクルな進化に感嘆し。

                   

                  続いて、欅坂のこれを見て、平手ちゃんのあまりの格好良さにひれ伏し。

                   

                  そのままネットサーフィン続けてたら、最後になぜかこんなものを開いていたよ。

                   

                  あー。

                   

                  https://www.youtube.com/watch?v=kCgvbXZBvb8

                   

                  おーいえーいえーいえーで涙と笑いが同時に飛び出るという稀有な体験をした。

                   

                  生きてるって、楽しい。

                   

                   

                   

                   

                   

                   

                   


                  オシャレ!!

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                    いなばのうっかり行ってる年齢層高めの高級ジムに、掛け値なしにオシャレなご婦人がいる。

                     

                    小柄で、うっすら筋肉のついたスリムなばでぃーで、年齢はたぶん60代なんだけど、初めて彼女に気づいたのは、冬。隣のロッカーで着替える彼女の、黒いコートの裏地が、見たこともないような、華やかなプリントだったから。

                     

                    「素敵な裏地ですねえ!」

                     

                    思わず声をかけたら、

                     

                    「わかる? こういう風に作るのが好きなのよ…」

                     

                    作る、ってことはお仕立てか、さすがだなあ、と思いながら足元に目をやると、ペディキュアが目にも鮮やかな、カナリアンイエローのしかもメタリック。冬で、サンダル履くわけでもない時期にだ。心意気に痺れる。

                    バッグから取り出されたジムウェアは、端正に畳まれて、趣味の良い布に包まれていた。

                     

                    「この人はただもんじゃないな…」

                     

                    と思ってその日は別れ。

                     

                    春先に試しに出た、ヨガのクラスで、偶然彼女に再会した。

                    その時彼女の着てたのが、あろうことかクリスティーナ・アギレラの真っ赤なコンサートTシャツ。

                    それも使いこんで良い具合に色あせたのを、スリムな体に自然に着こなしてた。

                     

                    「いよいよこの人、ただもんじゃないぞ」

                     

                    髪型も、ごくあっさりしてるけど計算されたボブカットで、左右の耳にランダムにつけられたピアスがまたオシャレなのだ。

                     

                    その後何回か、ばったりお会いするたびにご挨拶する関係になったけど、本当にいつ見かけてもオシャレ。

                    テキトーな服着てる時がない。かといって別に派手なわけじゃない、いたく自然体。野生の獣みたい。

                     

                    昨日またロッカーで隣に偶然なったときは、黒い一見普通の上着の、ボタンがあろうことか全色違いの缶バッジと言うひねり用。思わずたまらずいなば聞いたよ。

                     

                    「ねえさんいつもすっげえオシャレですけど、一体どこでいつもお洋服買われてるんですか?」

                     

                    ちょっと間を置いた後、教えてもらった答えがこれ。

                     

                    「服はね…自社ブランド」

                    「へ?」

                    「自分で作ってるの」

                     

                    なるほどなああああああああああ。

                     

                    「あああ、だっからオシャレなんですね、納得しました」

                    「わかる?」

                    「わかりますよう、ねえさんの場合、頭のてっぺんからつま先までだもん」
                    「あら、ありがとう」

                     

                    センスのないのには定評のあるいなば、ここは勉強させてもらおうと、聞いてみたよ。

                     

                    「ねえさんが、服を選ぶとき、気をつけてることって何ですか?」と。

                     

                    色だろうか、形だろうか、サイズ感かな? と思ってたら、全然違かった。

                     

                    「それはね、人と同じものを着ないってことよ」

                    「ほう?!」

                    「ユニ○ロとか無○とかZA○Aとか、そういうのでも別に良いのよ、でもね、一目見てどこで買ったかわかるものとか、買った物を全部そのままでは着ない。人と同じ風に服を着るのが嫌。もうこんな小さい子供のころからよ。絶対嫌だった。だから一度も買ったことないわ、高くても安くても、見たらすぐどこのかわかるような服」

                     

                    それを聞いた時、いなば、昔ベリーの初代弁天先生と交わした身も蓋もない会話思い出した。

                     

                    「先生、格好いいダンスには何が必要でしょう?」

                    「センスやな」

                    「先生、センスってどうやったら身に付きます?」

                    「ここだけの話、どうにもならんわ。生まれつきだから」

                     

                    それ聞いた時、いなば絶望とともに、そんなはずない、と思った。なんでも努力すれば培われるもんで、センスだってきっと色々勉強してればちょっとは身についてくるはずだよ、と。

                    でも、彼女のオシャレのこだわり聞いて、ああ、あれって本当だったんだなあ、とすっげえ今更納得してしまった。

                     

                    勉強して積み重ねるとか、そういう学習的なもんじゃないのだ。もう彼女たち、最初からわかってる。嫌なことがわかってる。

                    ダサイのが嫌なんだ。我慢できないのだ。

                    もう、それはオシャレになるしかない、スキルというより呪いみたいなもんかもしんない。

                     

                    考えてみれば、初代弁天先生も、ダンスを見てコメントを言うとき、「うまい下手」はそんなに気にしてなかった。

                    「ダサいかカッコいいか」が何より大事だった。

                    それはもう本能的で、皮膚感覚的な、生まれついてのものとしか言いようがないだろう。

                     

                    「それであなたは? どこで服買ってるの?」

                    「私は…そのユニ○ロ、無○、Z○RAを…」

                    「あら」

                    「そのまま買ったまま着ています…」

                    「まあ」

                     

                    もう恥じ入るしかなかった。何しろあたい、人と同じ格好して嫌、と言う感性全然ない。人が着てんだから間違いないだろう、と思ってた。ただ、体の形が凸凹してるんでふつうの日本人向けファッションが似合わないからしてないだけで。

                    それにしても、だ。

                     

                    人と違う恰好をするって、すごくリスキーで難しいことだ。

                    周りにいる人と似たような恰好をしてれば、避けられる面倒っていっぱいある。

                    日本人女性社会じゃなおさらだ。なのに、それを小さなときから拒否して、60代の今でもそれを貫き通してるって。

                     

                    「ねえさん、勇気ありますねえ。すごいや」

                    「あら、ありがとう」

                     

                    オシャレに大事な必須要素が、勇気だと初めて知った日。

                     

                     


                    のったがーる のっといえった○○

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                      さていなばの不妊治療、二回目の体外受精にトライアル!で卵が3個採れた。

                      今回はうまいことそのうち2個が受精!した! ブラボー!!

                       

                      そこで、これをどうするか問題が発生。

                       

                      「受精卵でけたんなら、とっとと子宮に戻せばいいんじゃね?」といなばは思っておったんだけど、意外にここが重要分岐点。

                       

                      いなばが今行ってる病院は毎回お医者さんがランダムで変わるんだが、卵採ってくれたすっきり美人の女医さんは、まずあたいの子宮の内膜値をチェックしてこう言った。

                       

                      「うん、クロミッドいれてたわりに、内膜薄くなってない。ホルモン値も悪くないし、これなら戻せるんで今周期戻しますか?」

                      「いやったあ! お願いします!!」

                      「っていうか、カルテ見るに前回もそこまで薄くなかったのに、なんで凍結する予定になってたんだろ?」

                      「なんでだっけ? あー、確か薬の影響で卵巣の状態がいまいちだったんだったかな? 今回は戻せるんだ、嬉しいなあ!」

                       

                      あたいをやくざに変える恐ろしい薬だったけど、体的には相性が良かったみたい。ありがとうクロミッド。

                      久しぶりにマイ子宮に受精卵お出迎えだぜ、ルンルン、とおうちに帰り、三日後病院に出向いたよ。

                       

                      卵採るのは麻酔したり針刺したりで大変だけど、戻すのはそんなに大変じゃないので完全にリラックスしてたあたいを出迎えたのは、可愛い子ちゃんの女医さん。

                      ところが、メタボさんと私の受精卵の写真を見せつつ、説明する彼女の顔が暗い。

                      っていうか、眉間にしわ。

                       

                      「卵のグレードはかなり良いです。フラグメントもないし、特にこっちの卵が良い。戻すならこちらですが…いなばさん、本当にこれ、戻しますか?」

                       

                      へ? そのつもりで今日あたいここに呼ばれたと思ってたけど。

                       

                      「今周期は採卵のためにホルモン剤も色々いれているし、子宮や卵巣の状態を考えると、凍結させて次周期に回して、子宮を整える、と言うやり方もありますが…」

                      「あれえ? 戻すとまずい感じですか? でも卵採ってくれた先生は今日戻して良いって言ってましたが」

                      「新鮮胚で今日戻すこともできますが、凍結胚移植をする方が多いんですよね…。いなばさんの年齢を考えると…可能性が…」

                       

                      まさかのここで再考察タイム。

                       

                      「凍らせる場合って、胚盤胞まで育てる感じですか?」

                      「…いえ、溶液を変えたり時間をさらにかけたり、卵の負担を考えると、それはないですね」

                      「ってえことは、分割卵の状態で、今戻すか凍らせるかの二択かあ…」

                       

                      これ、不妊治療マメ知識ですが、受精卵のままで移植するより、胚盤胞っていう状態まで育てて移植する方が妊娠率がすごい上がるんですね。ただし、そこまで育てず力尽きる場合もあるんで、ある程度たくさん卵採れた人に使える技。

                      何しろあたいの貯玉は残2。

                      これをどうするか。

                       

                      「んんんんー。…凍らせたのを次周期戻した場合の妊娠率って何パーですか?」

                      「15%です」

                      「うん、そんならもう、今日戻しちゃってください。なんかあたいがこの卵なら、冷やされずにあったかいとこ入りたいんで」

                      「そうですか…。わかりました…。ただ、いなばさん、新鮮胚移植して、この病院で着床したのは私が知る限り数例です」

                       

                      何そのマル秘情報、知りたくなかった。

                       

                      でももう決めちゃったし戻してけれ。

                       

                      それにしても、わりと医師の意志統一取れてる病院だと思ってたけど、移植に関してはどうしてこうも美人先生と可愛先生で意見がわれたんだべなあ。

                      不思議に思ったいなば、家に帰って色々調べた結果、理由判明。

                       

                      えーとね、凍らせたのを戻す方が確かに着床率が良い。

                      ただし、それは40代以降。

                      20代、30代は、新鮮胚移植した方が着床率が高いのだ。

                       

                      そしてそこに現われし不肖いなば=年齢、39歳。

                       

                      もう少女じゃない。でもギリ40代じゃない。

                      この微妙すぎる年齢(あとたぶんホルモン値)が、医師たちの意見をまっぷたつに割ったポイントだったっぽい。

                      そりゃああたいが先方でも悩むわ。

                       

                      コップの中にミルクが半分あったとして、「まだ半分ある」と思うか「もう半分しかない」と思うかみたいに、これはもうその人の生き様で「攻める」か「守る」みたいな感じになるんだろうなあ。

                       

                      いなばはわりと攻めて生きてたいほう。

                       

                      吉と出ても凶と出ても、何度でもバットを振るぜ。

                       

                      ちなみに、今回の病院では受精卵を子宮に戻すところをリアルタイムに画像で見せてもらえたよ。

                      暗い子宮に白い空気に包まれた、小さな小さな受精卵の粒が、管を通してスーッと流れて、奥の奥でピタッと止まる様は、消えない流れ星みたいで、すごく綺麗だったよ。

                       

                      どんな場所にも、そこでしか見えない綺麗なもんてある。

                       


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