真っ

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    寒い冬の朝、道を速足で急いでいたら、お寺さんの標語が目に入って来た。

     

    ありがたい説法じゃなく、俳句。

    しかも山頭火の思いっきり自由なやつで、白い紙に、余白をたっぷりとって、ヘタウマな字でこう。

     

    まっすぐな

           道で

    さみしい

     

    …通り過ぎて三秒後に、めちゃめちゃさみしくなってしまったよ。本当に腑に落ちてさみしい。まっすぐな道はさみしい。生きるってさみしい。冬の朝だしさみしい。このさみしさって、忘れてるだけでいつもここにあったやつで、よくも思い出させてくれたな山頭火!!と思って、胸んとこあいたたたってしながら歩いてたら。

    クリーニング屋のポスターが目に入って来た。

     

    なんか、ちょうどさっきのお寺の標語と同じくらいのサイズの紙に、見やすいフォントでくっきりとこう。

     

    真っ白な

    シャツで

    スッキリ!!

     

    一瞬でさみしさ消えた。

    うん、シャツを綺麗に白く洗いあげたらスッキリだ。

    間違いない、洗えばいいんだ、洗えば。真っ白でスッキリだ。

     

    5mの間で人生の深淵を除いて、日常に復帰した、素晴らしいコールアンドレスポンス、寺VSクリーニング屋。

    いや、きっとこれはこらぼれーしょん。寺withクリーニング屋いっそここにfeaturingいなばで、

     

    さみしさは

    洗いあげて

    スッキリ   

     


    私の少女時代ーOUR TIMESー

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      たぶん今日の日記は男性読者にはまったく関係ない話です。すみません。

       

      いなば、年末に買った雑誌「クロワッサン」のお掃除特集を熟読してるときに、お勧め映画のページで丸つけてたやつがあった。

      その名も、「私の少女時代-OUR TIMES-」。

      今はさえないOLが、90年代の台湾で送ったきらめく青春を回想しちゃうストーリーで、みどころは優等生の彼と不良の彼の間で揺れる乙女心と、平凡な彼女が途中でおしゃれに変身するシーン。

       

      ええ。

      もう。

      こってこての少女漫画的要素のすべてが詰まってる。

      一枚添えられた写真で、ヒロインが太めのマフラーをあの頃の女子高生が皆巻いてた形に巻き、ヒーローがあの頃の男子がたいていわけてたセンターパーツの髪型にして、パーカー着てるのを見て「何が何でも見よう」と心に決めたんだよ。

       

      そして、年末年始から数週間、胃腸炎でのたうち回って体調を崩して、ようやく今週「見に行こう」と思い立ったら、まいがっ。

      関東地方じゃ、もう横浜の黄金町っていう見たことも聞いたこともないところの映画館でしかやってない。

      それも明日までしかやってない。

      その上、朝の9時からの回しかやってない。

       

      しょうがないので今朝、6時前に起きて急いで朝ごはんつくって身支度してメタボに水筒にミルクティー詰めてもらって、電車に乗って知らない町に出かけました。

       

      で。

      見てみた結果。

       

      胸がキュンキュンしすぎて死にそうです。

      キュン死ってやつです。あれの手前です。やばいであります。

      なんでしょうね、処女のころ夢見てた素敵な恋愛のすべてが、スクリーンの中で輝いておりました。

      何が良いってね、台湾なんです。日本じゃないの。だから、リアルすぎねーの。ポケベルとか短いスカートとか厳し目の校則とか受験とかはあるけど、微妙に違ってるの。程よくパラレルワールドっつーか、異世界感があって、現実の自分の過去と比べて傷つかない我に返らない。素晴らしい。

      もう一つ良いのがね、あのね、もうね、不良だけど本当は頭が良くて、意地悪だけどいざという時には助けてくれて、前髪あげてもおろしても笑っても切れてもイケメンの、ヒーロー役の彼がね、…っ死ぬほど格好良いんですようおうおうおうおうおう。

      桜木花道と流川楓の恰好よいとこだけ足して二で割って、真壁君入れてあと誰だ? ちょっとルフィが入ってる感じです。わかるか? わかんねーか!!

       

      これはあれだ。

      12歳の時、スタンド・バイ・ミーで、故リバー・フェニックス君にときめいた時以来のときめきであります。

      食欲がなくなっちゃうくらい格好良いよ。開いた口がふさがらないぐらいうっとりだよ。もう。

      何しろこのヒロインとヒーロー、最後まで手もまともにつないでない。キスとかハグとかもない。なのにときめく。そう、ときめきって、接触が極小の方が半比例的にいや増すものだった、あの10代の頃。忘れてたなー。

       

      ヒロインの彼女も可愛いです。少女漫画のお約束通り「平凡でドジ」というのは設定だけで、こぼれそうに大きな目の、華奢な手足の、さらさらの髪の、でも嫌味のない透明感で溺死させられそうな美少女。

      でも、ハリウッド映画やディズニー映画と違って、同じアジア人だし、90年代でちょっとダサめなので、安心して共感して見られるんですね。

       

      あと、この横浜から三駅先にある黄金町にある映画館、ジャックアンドベティさんていうのが、すごい古びて時が止まったようなとこなのですが、椅子の座り心地が最高に良いです。この町のこの映画館で見ると、こういう大作じゃない映画は3倍心にしみる気がする。

      もう明日で最終日なんすけど、万一時間があって、映画見たかったら、マストゴーであります。

      関西の方はこれから順次公開みたいだから、近所に来たらぜひ見てください。ときめけっから。

       

      この映画で唯一難点があるとしたら、回想から現在に巻き戻ったそのあとのシーンが完全なる蛇足なことくらいですね。

      ない方が本当に良かったんじゃねーかと思う、ハッピーエンド。

      いなばのこれまでの人生で、「この子役が大人になってこの俳優になっちゃうならば、いっそもう子供時代で終わらせてほしかった」映画の栄えあるぶっちぬきナンバーワンだった、「青いパパイヤの香り」を余裕で超えるミスキャスト。

      あの可憐で不器用な18歳の彼女が、どこをどう育ってどう間違っても、絶対この女にはなんねえ。むしろライバルキャラ役の子が育ったの間違いじゃねえのか。

      でも、回想時代が100点満点のできなんで、まあ許せます。

       

      みずみずしい気持ち取り戻したくなったら見るべし。

       

      って、大事なこと書き忘れてた。

       

      映画の中で、ローラースケートするシーンが、何回かとっても良い小道具として出てくるんですね。

      ヒロインはへっぴり腰で転びまくって、困っていると、ヒーローの彼が言うんです。

       

      「転ばないコツを教えてやろうか?」

       

      答は、思いっきり彼女の背中を押して、

       

      「転ぶのを怖がらないことだ」

       

      強く押されてしばらくまっすぐ滑れるのだけど、最終的に転んでしまった彼女を助け起こして笑顔で言うのが、

       

      「最悪、転ぶだけなんだから。何をしにここに来てるのか、忘れるなよ」

       

      ローラースケートしに来たら、滑るしかない。最悪転ぶだけなんだから。

      当たり前のことだけど、当たり前のことなんだけど、「何をしにここに来てるのか」を、転ぶのを怖がりすぎてよく忘れてしまう私の心のど真ん中に的中しました。


      どんな時でもオチついて

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        女友達が、ある日あたいにぼやいてきた。

         

        「なんか、知人の女子の話がすごいつまんないのよ。まったくどうでも良い話を最初から最後まですごい細かく話すの。もう、私からしたら、どおおおおおでも良い話題なのよ。わざわざそれ話す?みたいな。それを事細かにずーっと話していくんだよね。はあ。聞いてる人もうんうんあいずち打ってるけど、それで良いの?って思うわ」

         

        いなば、それ聞いてびっくりした。

        びっくりして、思わず、突っ込んでしまった。

         

        「いや、それ、あなたもだけど。あなたの話めちゃめちゃつまんないよ。なんのオチもひねりもない、どおおおおおでも良い話だよ? しかもそれを聞きやすいようにかいつまんだり、整理したり一切しないで、とにかく時系列で最初から最後までずーっと事細かに話さないと気が済まないでしょあなた? その知人さんといっしょだよ? 私があなたの話うんうん聞いてるのは、面白いからじゃなくて、友達として好きだからってだけよ。最初から最後まで話すという行為で何かを発散してるんだろうから付き合おうという気持ち一つで聞いてるよ。それ、知らなかったの?」

        「…知らなかった…」

        「うん、知れて良かったね。自分も相手も一緒だと思えば、多少気持ち楽じゃない?」

        「…それは本当にごめんなさいでした。これからは、もっと話面白くするように気を付けます」

        「いや! 止めてよ! そんな気を使って話したら、あなたらしさが死ぬよ! 最初から最後までずーっとどうでも良い話をしてすっきりする、そういうものだと思って今まで通り聞くし! 今のままのあなたでいて!」

         

        話はクソつまんねえけど、人間としては最高に楽しいから、特に不満はないのです。

        逆に人間として面白い人が、無理に話を面白くしようとすると、もう本当に聞いてて痛みを覚えるようなことになりかねない。

        あと、女子は話がつまんない方が、幸せをつかみやすい気がものすごくする。あたい調べだけど。

         

        さて、ここでいなばの初代ベリーの先生にして、人生全般の師匠である弁天先生が登場する。

        関西人で、とにかく話が面白い、たとえつまらない話をしてても、間合いや声の出し方、表情で面白く聞かせてしまう彼女と、つい先日ばったり会って。

         

        「おお先生、お正月休みでリフレッシュされました?」

        「いや、全く駄目やねん。お正月の里帰りから部屋戻ったら、…なんと、水漏れしてた」

        「ええ?!」

        「もう、家じゅう何もかもびしょぬれでカビが生えて、服も寝具も全部駄目。押入れの中まで水まみれ」

        「それ、どうしたの?!」

        「大家さんに連絡して、幸い同じ建物に空いてる部屋あったから急きょそこ開けてもらって、いそいで布団だけ買ってその晩はしのいだわ」

        「それは不幸中の幸いでしたねえ…」

        「でも、新しい部屋はガス通ってないから、お風呂は水漏れしてる元の部屋で入って、でも寝るのは新しい部屋で、もう落ち着かなくて参ったわ。寒いし、新しい部屋も埃が積もってるし、極め付けが」

        「何があったの?」

        「新しい部屋のベランダ開けたら、転がるネズミの白骨死体」

         

        申し訳ないけど爆笑した。

        先生も一緒に笑ってた。

         

        「普通に同情させてよ!! こんな話の持ってきかた、ズルいわ!!」

        「ごめんごめん、ついつい」

         

        新年早々部屋が水漏れで散々な目に合って心底げんなりしていても、つい人を笑わせてしまう。「話が面白い女」って言うのはそれくらいやりこなしてしまういきもの。


        作家のお菓子

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          枕読者様はたぶん「本好き」「お菓子好き」そして「小粋」な方がほとんどと思われます。

          そんな皆さまに超☆お勧めの良書発見ですよ。

           

          えー。

           

          作家のお菓子

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          有名な作家から漫画家、知る人ぞ知る詩人や画家のお気に入りのお菓子が、その人の書いた文章の一節、それに作家の親族や秘書がエピソードを添えて、吟味された写真と文章とともに、次々に披露されます。

          ページをめくれどもめくれども、美々しくゆかしく、お菓子、お菓子またお菓子! お菓子の桃源郷!!

          和菓子に洋菓子、中華菓子にドライフルーツ、どれも派手ではないけれど間違いなく美味しそう。

           

          陶然、読んでるともううっとりして来てしまう。

           

          京都や金沢などの土地の銘菓なんか、わざわざそれのために旅に出たくなってくる。特に、岡山の橘香堂さんの「むらすゞめ」(あまりの薄さに気泡のあいた皮に、そっと餡をはさんだ逸品)は、見た目もキュートだし、二人の作家さんが別々に推してるしで、ぜひとも食べたい気になった。

           

          そしたら、幸運にも、ちょいと出かけた渋谷の東急デパートの地下で、日本全国の美味しいもの展みたいなのやってて、そこで売ってた!!

          思わず買い求めて、うちに帰っていただいてみたらばですよ。

           

          …ほわわわわああん、でした。

           

          うん、ほわわわああん、な甘みとうまみ。上品で可愛い見た目を裏切らないお味。お茶に合う合う。そんで少量ですごい満足できる。

          作家の厳しい創作活動で疲れた脳と心を癒してきたのも納得の、滋味に富んだお味でした。

           

          こうなると、がぜんほかのお菓子もちょっとずつトライしてコンプリートしたくなる!

          2017年のやらなきゃ!リストに「作家のお菓子めぐり」が追加されたのでありました。

           

          また、単にお菓子の紹介だけでなく、それを愛した作家に対し、色々な人が様々に短文を寄せていて、気軽にしっとりと良い文章を読めますが、故ナンシー関について、かつての上司いとうせいこうが語った文章はとくべつ素晴らしかったです。

          ナンシーの卵焼きがどれだけ美味しかったか、彼女はじめその家族の吟味してくれた食べ物の間違いなさをたたえた後、最後に、

           

          「おかげで教えてもらったおいしいものがみんな、自分のふるさとの味みたいに懐かしく思えて仕方がない。」

           

          あからさまにその人を懐かしい、というのでなく、間に美味しいものをそっとはさむ言い方に、直截が信条のいなばは「小粋だなあ」と感じいったのでした。


          半死半生

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            いなば、久しぶりに美容院行って髪を整えてもらったよ。

             

            腕の良い美容師さんに今年のテーマを聞かれて、あたい答えた。

             

            「清潔です」

             

            「…あれ、去年も言ってませんでした? それ、いいと思いますけどね、清潔感のあるエロス」

            「いや、もうエロはいいです。そして、感すら取り去ってください。清潔感じゃなくて、清潔、です! もう私は清潔なだけの女になります」

            「…どうしてそういう気になったんですか?」

            「私もアラフォーを迎えてですね、気づいちゃった。もうエロとかいらない。必要がない。清潔がすべてだ、と」

             

            いろいろ言いたいことはありそうだったが、プロはすべてを飲み込んで、

             

            「わかりました。清潔と言ったら艶、艶は面で出します。ということは、段とかは入れない。それで、トリートメントを念入りにして、傷んだ毛先だけ切りますね」

             

            ちなみに、この美容師さん、ヘアの後に、サービスでその時々でその人に似合うメイクをしてくれてコツも教えてくれる。

             

            「清潔と言えば、眉毛です。はっきり目で直線的に描きます。あとは唇ですが…」

            「あれ、色消してます?」

            「元の赤味が強いので、コンシーラーで色を抑えて、そこにこの赤い透明グロスを入れて。あと、アイラインは際に細く入れます。アイシャドウはいらない。マットな白で均一にするだけ」

             

            すべての手入れが終わった結果。

             

            「おお! 典型的なグラビアアイドルみたいな仕上がりになったぞ!!」

            「清潔ですね」

             

            余計な要素が一切ない、清潔なだけのいなば、爆誕。

             

            ちなみに服の垢抜けについてここ数年研究を重ね、たどり着いた結論に従い、最近あたいいつもこんな格好。

             

            1) 柄と装飾はいらない。体にあった形の、単色の定番アイテムを着ろ。

            2) 色は数いらない。白灰ネイビーベージュあたりを三色か二色で済ませろ。

            3) 必ずヒールはいて、髪は洗ってブローしろ。なんなら巻け。

             

            ファッショナブルじゃないけど、どこでも違和感ない。セレブ感ないけど、上品。そして、何より清潔感があふれてる。

             

            というわけで、清潔な私が清潔感重視ファッションで、久しぶりにママンと若者でごったがえす渋谷の中心地を歩いていたらばだ。

            ここ数年でめっきり減った、キャバクラのティッシュ配りのおねいさんとおにいさんが目の前に現れて。

            おにいさんには一瞥でガン無視されたけど。

            なんと、おねいさんが、うん年ぶりにあたいにティッシュを差し出して!!!!

             

            …直前でひっこめた。

             

            「っていうか、そこまで出したらもう渡せよおおおおお!!!!」

            いなばこめかみに青筋。

            「でなかったら、最初から見極めてそもそも差し出さないでよおおおお!!! 夢見ちゃったじゃん?!!!」

            ふぁっく! ふぁっく!!と渋谷の中心で毒を吐いていたら、かあちゃんが冷静につっこんだ。

             

            「もらえかけただけ良しとしなさいよ」

             

            そうだね、確かに、死んでたと思ったら実は生き返ったか?と思えたのは嬉しかったしね…って、でもやっぱ最後にとどめ刺されてるじゃん! 二度殺されてるも同然だよこれ!!!

            私は生きてるの? 死んでるの? どっちいいいいいい?!

             

            …まあ半死半生ですが、全死から半生き返らせてくれたのは、明らかにRINの日下さんの腕。

             

            新年迎えてイメージチェンジしたいとか、若返りたいとか思ったら、行くべし。

            実はメタボさんもお世話になってるけど、笑えるくらい格好良くなってビビった。何しろ髪がおしゃれ(手入れは楽ちん)なんで、服が今まで通りだと変だとゆうことに、当人が気づいて気を遣うようになったのがデカい。

            おしゃれは靴と髪からって本当だった。

             

            生死まで左右するくらいの違いなのは知らなかった。


            耳が、聞こえる

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              いなば、ベリーダンスはじめてそろそろ11年なんですけど、この長さやってるわりに上手じゃない。

              歴代先生から指摘され続けてる、致命的な理由がふたつあって、一つが体がかたい、もう一つがリズム感がない。

               

              リズム感がない、っていうか、音感がない。

              だから、最初のうちは先生がなんでレッスン中に「いち、にい、さん、しい」って数かぞえながら振付を教えてくれるのかわかってなかった。

              あれはカウントを取るという行為で、それは曲のリズムと合っていて、それを動きのきっかけに皆はしてると知ったのは、最初の発表会でソロ踊った後だった。

               

              「え? じゃあそれまでどうやって振付のタイミング計ってたの?」

               

              と思った貴女。鋭い。正解は、

               

              順番。です。

               

              えーと、覚えた振付を順番に繰り出していって、あと歌詞。歌詞で「ここでこうかな」って丸暗記してた。

              すごく間違ってた。

               

              彼女が初めてできた男子が、漫画や雑誌の知識を丸暗記して「まずデートに誘って、挨拶をして、服を褒めて、電車に乗って、席があったら譲って、映画のチケット買っで忘れずにポップコーンもゲットする」みたいに、流れですべての計画を立て、肝心の彼女の気持ち一切見てないみたいなダンス。

               

              なので、初代の先生には良く怒られた。

              「音を聞いて!」と。

              言われてあたいもキョトンである。

              「音なら聞いてるけど」と。

              正解は「聞いた音に合わせて」ってことなんだけど、「へ、それどの音にどう合わせるの?」と言う当然の疑問が湧いて出る。

              女子の話は聞いてるけど、話の奥の彼女の気持ちを読み取れないわけですな。

              「ダンスは音楽に合わせてするんです! 合ってないならどんなに体が動いてもただの体操だから! というか、あなたが音楽になるんです!!  わかる?!」

              文章として、大変美しいコンセプトなのは理解したけど、実践に結びつきません、先生。

               

              この状態は恐ろしいことに10年続いて、10年いなばは考え続けたわけである。

              どうやったら音が聞こえるようになるんだろう。リズムに合わせて踊れるんだろう。

               

              夜遊びで出会ったプロの振付師のにーさんはこう言った。

              「一曲の中で、いくつ楽器を使ってて、どの音をどの楽器が演奏してるかわかったら、音がわかるようになるよ」

              なるほど。

               

              二代目菩薩先生はこう言った。

              「何度も何度も同じ曲を聞けばわかるようになります。音は大き目で」

              振付してもらった曲を擦り切れるほど聞いて、多少はわかった気になったが、曲が変わったらまた元の木阿弥なわけで。

               

              初代弁天先生はこう言った。

              「ピアノ習ったらどうかな? あれはすべての音感の基礎になるから」

              先生、自分幼少期に六年ほどエレクトーンをやって全くモノにならずにこの有様でごんす。先生も絶句。

               

              そんな十年目のあたいが、友達のライブで刮目することになった。

              大学時代軽音やってた彼女が、新たにバンドを組んでオリジナルの歌詞と曲で楽しそうに演奏をしてる最中だった。

              ドラムのにーさんと、ベースのリーダーの独演になった。

              初め普通に始まった二人の掛け合いは、途中からドンドン熱を帯び、それぞれの演奏が新たな呼び水となって、よりパワフルに激しく燃え上り、そりゃもう感動的なワンシーンとなったのであるが。

              その時、二人とも、体が動いてた。激しく頭を振り、体を傾けて、足を踏み鳴らして、全身が動いてた。

              音に合わせて、というか、音を作ってた。

               

              「…なるほど!! これが音が聞こえてて、音に合ってる状態かあああ!!!」

               

              比較すると、確かにあたいのダンス、全然音に合ってない。音にコミットしてない。音とセックスしてない。

              考えたら、初代弁天先生も、四代目観音先生も踊ってるときは常に音楽とファックしてる。

              あたいの場合、言うならオナニーで早漏だ。残念すぐる…。

               

              それが初夏の時点の話だったわけですが、実は2017年1月現在、、私、音が前よりわかるようになり申した!!!

              そう、10年ついてるだけだった、耳が聞こえるようになったのです。

              なぜか。

              四代目の観音先生が、ダンスを教えるときにカウントを一切取らない人だから。

              ふつう、振り付けって「1,2,3,4」ってカウント取って教えてもらうんですが、観音先生、これが大嫌い。だから、音を流して、「こうでこう、それでこう」で覚えさせられる。

               

              無理じゃん。

               

              音聞こえないのに、カウントもなしで、しかも観音先生チョイスの曲って、ジプシー音楽でリズムがすごい自由。

              もう絶対わかんないじゃん。わかんないまま、丸暗記した順番に歌詞に合わせて踊るんだけど、当然合わない。要所要所で「遅い!」「早い!」「音に合ってないよ!!」と鬼怒られる。

              いなばベソかきながら一曲の振付を10か月かけて、カウントなしで覚えた。

               

              そしたら、音聞こえるようになってた。

               

              いつかのクラブの振付師が言ったみたいに、「ここはドラムで合わせて、ここのきっかけはベースで、ここんとこだけ歌だな」っていうのがわかるようになった!

              今まで三色しか見えなかった色が、七色くらいに増えた感じ。たぶん先生たちは100色くらい見えてるんだろうけど、私には七色だって凄い違いだ。

              何が変わったって、オペラとかクラシック音楽聞いてたら、何か気持ちが揺さぶられるようになった。

              前は飽きて「わかりやすいメロディで歌うたえよ〜、せめて歌詞で理解させろよ〜」と思ってたのが、「音色で感覚を呼び起こされる」と言う状況にようやくなったのである。

               

              と、言うわけで。

              もしいなばみたいに「音が聞こえない」「リズムが取れない」で悩んでる人がいたらですね。

              えー、一曲カウント取らないで死ぬ気で踊り込んでみるとおそらくわかるようになると思います。

              そう、我儘で短気な彼女ととりあえず一年死ぬ気でつきあったら、女子のキレるタイミングがわかるようになるがごとしで。すげえしんどいけど。

               

              ちなみに、先日プロのフラダンサーさんとお話する機会があって、フラとベリーでお互いの踊りの特徴を見せあったんですね。

              「ベリーはこんな風にくねったり、こういう風にパーツだけ動かしたりしますよー」

              とあたいが胸やら腰を動かして見せると、

              「へえ、そんな方向に動かすんだ、全然違うわー。フラダンスはこんなよ」

              そう言って、フラダンス歴20年以上の彼女がほんの数秒見せてくれたのは。

               

              あたいみたいな単に動きじゃなくて、もう、踊りだった。

               

              なにしろ、ほんとにさらりと、軽くステップを踏みながら腰を動かしただけなのに、確かに音が聞こえた。

              流してないはずの音楽が、風のように空気を動かすのが、私の目に見えたんだもの。

               

              なるほど、弁天先生の言う通り。

              「ダンスは、あなたが音楽になる」

              って本当だったんだ、と我が目で知った2017年新春。

              耳が聞こえる、その先は、音が見える世界。

               

               

               

               


              体は剣でできてない

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                いなばずっと胃腸炎でのたうち回ってて、実は大掃除全然してない。

                本日だいぶ体調も収まり、ずっとずっと気になっていたアレに着手しましたよ。

                 

                そう。

                 

                エアコンのフィルター掃除だ。

                 

                考えたらもう夏から一回も掃除してないエアコンのフィルター。どうなってるか開けるのも怖い。なんか微妙に隙間から埃的なものが見えてゾクゾクするぜ。

                ハウスダストアレルギー持ちのくせに、まめに掃除してなかった自分が悪いんだけど、このパンドラの箱を開けるのはマジ勇気いる。

                 

                だが。

                今日の私は今までと一味違う。

                年末年始、大掃除はしないで胃腸炎でのたうち回ってたけど、暇にあかせていなば読みためていたのである。

                雑誌の掃除特集各種を。

                婚活も、一般常識も人付き合いも、大体ほとんどのことを読書でなんとかしてきたこのあたい、お掃除だってとりあえず本から学ぶぜ。っていうか、訂正。

                こと掃除に関しては、文章よりでっかい写真でいっぱい見たほうが頭に入りやすいから、雑誌がマジありがたい。

                雑誌の通りにすべてやる必要はないけど、色んな人が様々なやり方であちこち掃除してる中から「このアイテム便利そう」「これならできそう」を1個2個拾えて、自分のものにできたらラッキーなのだ。

                 

                というわけで、今日の私はエアコン掃除にあたって、片手にいつも構えてる雑巾じゃない物を持ってた。

                黄金の右手で構えてたのは、そう、先端を隙間ノズルに取り換えた、スティック型掃除機。

                これで埃をまず吸い取って、それからフィルター外すと楽ちんだぜ、みたいな記事を読んでやってみたのである。

                ゴクリと息をのみながら、ぱっかんとエアコンの外蓋開けた瞬間、いなば思わず声にならない絶叫あげたよ。

                 

                埃が。

                 

                フィルターじゃ収まりきらないで、エアコンの隙間にみっしり詰まって詰まり切れなくて各所に盛り上がってるぅうううううう!!!

                 

                「でええええええい!!!」

                 

                取り乱して、思わず右手に構えた掃除機のノズルをやたらめったら埃方面に向けたらだ。

                 

                ぶおおおお!という音とともに、アホほど簡単に、綺麗に埃吸い取れた。

                いや、ほんとに。

                すすするん!みたいな感じで、こんもり埃が一瞬で。

                 

                「えええええええい!!」

                 

                そのままノズルをフィルターの上に走らせれば、軌道に合わせてすいすいすんすん埃が取れてく。別に力いらない、飛び散らない。やだ、何これ、楽しい?!

                 

                「やああああああ!!!」

                 

                振り回せば振り回すほど吸い込まれていく埃(悪霊)、気分はもう、ゴーストバスターだ。

                っていうか、今まで雑巾で空ぶきしては埃が舞い散ってゲホゲホして、水拭きすれば埃がだまになってこびりついて涙目になって、フィルターも水洗いで超苦労しながら歯ブラシでこすって取ってたのに、何コレ。

                吸わせればよかったんや。

                振るでも拭くでもこするでもない、吸わせればよかったんや。

                 

                「…知らなかった。てか、気づかなかった。今までずっと地面を這わせていたけど、…お前は聖剣・エクスカリバーやったんやなあああああ!! 今まで抜かんですまんやったああ!! これからはこのあたいが、振って振ってふりまくってやらああああああ!!」

                 

                額に青筋立てながら、エアコンに向かって我が聖剣・エクスカリバー(中国製の無名ブランド掃除機)を勇ましく振って、いなばは本日我が家の埃を退治したのでありました。

                うん、胃腸炎だいぶ治った。

                 

                というわけで、スティック型掃除機お持ちの皆さんにはもはや常識かもしれませんが、まだ抜いたことのないエクスカリバーをお持ちでしたら、ぜひエアコンに向かって!振るうことを!!いなばお勧めいたします。

                うちのは3〜4000円くらいのちょお安いやつだったけど、超軽くて劇綺麗になった。

                ノズルが入り込めない先の埃は、反対側の手で歯ブラシ持ってかきだしながら吸わせるのがコツであります!

                 

                …まあ。そんな大変な状況まで埃をため込む前に、こまめにはたきかけてりゃ良いだけの話だとゆうのは、言わない約束ですよ。

                明日は台所の換気扇だー。だー。

                 


                紫立ちたる雲の

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                  いなば、年末年始に十日ほど通ったとある講習会で、まんべんなく体を冷やしてしまって、大みそかからこっちずっと腹を下すとゆう大惨事。

                  おせちも雑煮もあったもんじゃない。何食べてもみぞおち痛くなって気持ち悪くなって、最後にジャーだ。

                  下すとゆうのはすごいもので、みるみる体重が落ちていく。

                  生まれて初めてお正月太りしないで済んでラッキーとか思ってたら、顔がこけ始めて肌がボロボロになって来て、お正月休みから返ってきた主治鍼灸師のさとたんが青ざめはじめて、ようやくことの重大さに気づく。

                   

                  これ、あかん痩せ方や。

                   

                  「あなた何考えてるの?! これまでコツコツ冷えを直して、体を暖かくするように頑張って来ておいたのに、この土壇場でどうしてこうなるのよ!! 妊娠したいのに冷やすって、やる気あるの? もおおおおおお!!!」

                   

                  さとたんに鬼おこらえてうなだれるしかなかった。

                  なまじ体があったまって来て、「寒い」と気づくのに遅れたぽ。

                   

                  その時点で新年あけて5日目。鍼灸してもらって、薬もらって、あったかくして栄養とって良い子にしてたら、気持ち悪さとか痛みとかはだいぶおさまったけど、それでもジャー。水で流したようにジャー。

                   

                  「あなた水分意識してたくさん取るのよ?」

                  「なんで?」

                  「大が水溶性で流れてるってことは、水分がドンドン失われてるのよ。最近いつ小の方したか覚えてる?」

                   

                  言われていなば愕然とした。頻尿のあたいが、もう三日尿してない!

                   

                  「え? 人っておしっこしないで生きてけるものなの?」

                  「そっちに回す分がもうないのよ。流れてっちゃうから」

                   

                  下痢、こわっ! そして、自分が尿してないことに気づかなかった自分もこわっ!!

                   

                  恐怖におののいて、その後さらに念入りにおとなしくしてたら、今朝ようやくお通じが形を多少取り戻し、ほっと一安心…、できない!!

                   

                  「おしりの穴がいたああああああい、え? 熱い? 熱い熱い痛い、いいやああああ、いたいぃいいいい」

                   

                  朝から静かなメタボさんとわたしんちに響くいなばの悲鳴。

                  「大変だよメタボさん、下し過ぎてあたいの尻の穴が痛いよファイヤーだよもうトイレ行くのが怖いよこんなことがあるってわかる?この気持ちわかる?」

                  寝ぼける良人を叩き起こして取り乱せば、もともと繊細な性格で幼少時の食生活がひどかったせいで常にお通じに苦しんでるメタボ、一言。

                  「ヨクワカルヨ…」

                   

                  万感の思い、こもってた。

                   

                  さておき、尻の穴がもえるよに痛いのには参った。

                  いなばはもともとは大変スムーズなお通じが身上で、こんなトラブル初めて。何が原因やらどうしたら良いかググってみたところ。

                   

                  「なになに、下すとトイレの回数が増え、拭くときの摩擦でケツアナに負担がかかる上にも、下す度合いがひどくなると、腸液がそのまま出てくるが、それがアルカリ濃度高くて皮膚を溶かすから痛い…だとぅ?!」

                   

                  腸液、強すぎじゃね?

                  いなば手作り石けんの時に苛性ソーダ使ってるけど、あれ強アルカリで素手で触るとマジ皮膚溶けるんだが、腸液って何それの系譜? 危ないよ?!

                  昔読んだBL(ボーイズラブ)小説の濡れ場の描写に「感じすぎて腸液がしみだして男なのに濡れ濡れ」とかその当時ですら「いやアホぬかせ」と思う文章あったけど、そんなんしみだしてきたら自分も焼けるし、相手のてぃんこがえらいことだ。

                   

                  「さておき、えーと、対処方としては、ウォシュレットで優しく流して、トイレットペーパーはあくまでソフトにあてる感じで水気を取り、ワセリンを尻穴に丁寧に塗って保護する…。ってウチにはワセリンないよ?!」

                   

                  でもニベアならある。

                  速攻「ワセリンないからニベア、尻の穴」、でググったら先達がいて「止めたほうが良いでしょう」のありがたいご助言。さてどうしたもんか。

                  そうだ!!

                  うちには、お灸の火傷を保護する紫雲膏(しうんこう)がある! 割と保湿剤として万能なはずだしもうこれで良いや!!

                  で、塗ってみた。

                   

                  …ほおぉおおおぉお。

                   

                  焼けつくような痛みが、おさまりました。いや完全にじゃないけど、しのげるくらいになった。

                   

                  「それでね、塗った後でググったら、紫雲膏って、火傷の薬でもあるけどそもそも痔の薬だったんだよ!! すごいミラクルじゃない?! 紫雲膏凄いよね!!」

                   

                  朝のトイレから燃える尻穴バーニングで大騒ぎして、ググって紫雲膏塗って一段落してを終わらせたあたりで起きてきたメタボさんにいなば感動して伝えたら、良人の答えは斜め上だった。

                   

                  「ああ、それダカラ、し・ウンコ?」

                   

                  絶対違うし面白くないし何より面白くないからドヤ顔止めろ。

                   

                   

                   

                   


                  あの時の君がいた

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                    ともだちから、「普通にほっこりしたCM」という名前でこんなリンク送られてきた。

                     

                    https://www.youtube.com/watch?v=WsMU4OFnSeQ&feature=youtu.be

                     

                    最初からもう目が釘付けで、一挙一動に胸がきゅんきゅんして、はらはらしてドキドキした挙句ラストが・・・。

                     

                    ラストが、納得いかなかった。いや、ストーリーとしては自然な流れなんだろうけど。

                     

                    すげえ納得がいかない。

                     

                    たぶん枕読者さまならあたいが何にごりっぷくか絶対わかってくださると思うので、見てやってください。

                    100%安全な動画なので、そこはご安心を。

                     

                     


                    紐と脂と永劫回帰 そしてカムバックえろネタ日記

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                      いなば、「エロと下品と自虐はもう卒業」と決めて、年明けを迎えました。

                      ちょうどその頃、とある短期の講習会にお邪魔してたのです。

                      20代から60代くらいまで、女性多めの3、40人くらいひしめく空間で、エロも笑いも自虐もせずと、ちょっとずつ交友を深める日々。

                      大体やれてっかな、よしよし、このまま脂っ気なくして生きてこうと思ってたある日のこと。

                      いなばよりわりと年上のふくよかなレディの、たわわな胸が目についた。

                      もう、目が離せなくなった。

                      動くたびにたゆんたゆんするんだもん。流れるように右左上下左右自在なんだよ。

                      真面目に講習受けてたんだけど、終わった後で思わず彼女に聞いてしまったわけですよ。

                       

                      「あの、すっごい関係ない話なんですけど、教えてください、何カップですか?」

                       

                      あらやだ胸?と恥ずかしそうに笑いながら、「ちゃんと計ってないからわからないわー」と巨乳あるあるな答え。

                      「ぜひ知りたいのでわかったら教えてください」

                      クールに言って去った私に、翌日の昼休み、そのレディーが近づいてきて、はにかみながらこう言ったよ。

                      「タグを見てみたらね…Eだったわ」

                       

                      「いや、そんなわけないですよね」

                       

                      「え?」

                      「あなたのそのたわわなお宝が、そんな数字で収まるわけない。少なくともG以上のはずなんだ。ちゃんと店員さんに計ってもらいましたか」

                      「え? それはしてないけど、そうなの?」

                      「そうです、そうなんです。計って正しいサイズのブラにしたら2サイズはアップします。素晴らしいものをお持ちなんです」

                      「そんなこと言われたことないわ…。それは私がどこもかしこも大きいからじゃない?」

                      「そうじゃないんです。そういうことじゃないんです。あなたのおっぱいが素晴らしいんです。わかりますか? 豊かなんです、柔らかいんです。質感として優秀なんです。ちゃんと包んでやってください」

                      「言われてみれば私、健康診断の時に写真撮られたらそれがほかの人に比べたら真っ白で、脂肪?がすごく多いんですって」

                      「そうでしょう! そうでなくてはそういう風に揺れませんから! いいですか、上等な真珠はむき出しで置きませんよね? やわらかい布に包んで大切にしまいますよね! あなたのそのたわわな果実もそうなんです! 」

                      「あら…、まあ…。本当に? わかったわ…。あの、私そりゃ男の人にならたまに‘’おい、大きいな‘’みたいなことは言われたこともあったけど、こんな風に言われたのは初めてで…」

                       

                      ほほを赤くして照れるレディの前でいなば我に返ったら、10分くらい彼女のおっぱい褒めたたえてた。

                      Noエロ、No下品で行こうと思ってたのに、おっぱいの話だけを10分。たぶん講習会行き始めてからいなばが人に一番長く熱く語った話題がこれ。たわわなおっぱい。

                      その間私なんも考えてなかった。口が勝手に動いてた。

                       

                      「ああ! あの! 私心の中におっさんが住んでて!アルベルトっていう脂っこいおっさんが!たまにそのおっさんが顔を出すんです! すいません!!」

                       

                      おっさんがいるの!と爆笑してもらってその場は収まったけど、あとで反省した。どうしておっぱいとかゆった。何度もゆった、私。

                       

                      ちょうどその日偶然にも、知人に前世を見てもらう機会があって、その謎が解けた。

                       

                      「えー、いなばさんでまず見えるのは、日本の、…江戸時代? あなたは男ですね」

                      「へえ、男だったんだ」

                      「で、…あの…、ヒモみたいな感じです」

                       

                      HIMO?

                       

                      「奥さんは、その、今の旦那さんで。大体今と同じ関係です」

                      「…え? 私自分のこと専業主婦だと思ってたけど、むしろヒモだったってこと?!」

                      「その上、ギャンブル大好き」

                      「最低じゃないですか!」

                      「しかも弱い。全然勝てない」

                      「ひど過ぎる!!」

                      「で、ものすごい啖呵を奥さんに切って大勝負に出た結果、大負け」

                      「はああ?」

                      「それでさすがに反省して、今回は逆の性別でこうなったみたいですよ」

                      「いいとこいっこもないじゃん!」

                      「安心してください。そこそこ人からは愛されてましたよ」

                      「でも負け犬じゃん!」

                      「ちなみにそのそこそこ人気者だった理由は、顔がまあまあだったから。プ」

                      「どこまでも中途半端!!」

                       

                      やだやだ、こんなんやだよ!!

                       

                      「そりゃ中世のお姫様とか平安の貴族とか、そこまで夢は見ませんよ? 大体人口比で行ったら農民が一番多いでしょ? なのに、よりにもよって、ヒモ? なんのミッションもドラマもないっていうか、ヒモぉ? もっとほかに、なんかないの?!」

                      「えーと…これは前から実はちらついてたんですけど…」

                      「何!?」

                      「石畳で、多分ヨーロッパで…小太りで、背が低い、テラテラしたおっさんが、自信満々で道行くご婦人に声かけてるっていう」

                       

                      それ、アルベルトやん!?

                       

                      「え? あいつあたいの前々世?」

                      「仕事はやっぱり、ヒモ的な…」

                      「あいつヒモだったの? え? 私ずっとヒモ? 他ないの?」

                      「そのおっさんの後かな? 今度は背が高くなってわりと整った顔で色白で、早世されたっぽいけど、こっちは自分から行くんじゃなくて、女の人が放っておけないで、割と裕福なパトロンがつく感じで…」

                      「やっぱりヒモか!!」

                       

                      いなば開いた口がしばらくふさがんなかった。

                       

                      「…私、ここだけの話、実は物心ついてからずっと不思議だったことが一つあって」

                      「なんですか?」

                      「世の中の人って、困ったこととか、大変なこと、なんで自分で頑張ってなんとかするんだろう?って不思議でしょうがなかったんです。できる人見つけてやってもらえばいいのに、って思って…ましたけどこれって…」

                      「立派なヒモの考え方ですね!」

                       

                      魂レベルのヒモ気質。永劫回帰ヒモ。輪廻しても輪廻してもヒモ。

                       

                      「ちなみにアルベルトさんはおっぱいマニアですね」

                      「知ってる。私もそうだし。足より尻よりおっぱい派」

                      「それも、大きい方がお好きみたいですね」

                      「そうなの。なんていうの、ふくよかな人の柔らかいのが特に好きなの(でも貧乳も好きだし普乳も愛でるよ)」

                      「…そのヨーロッパの石畳の街角で、道行くご婦人に声をかけてるんですけど、自分より背が高くてふくよかな巨乳の人を狙い打ち」

                       

                      死ぬほど気持ちわかるけど、いたたまれない。

                       

                      「それでね、アルベルトさん禿げてますよね?」

                      「うん、てっぺん禿げ」

                      「その上に帽子をかぶって隠してるんだけど、彼がナンパして声かけて、良い感じにお話してると、何しろ彼背が低いからご婦人がかがんできて、胸がチラっとなるでしょう? そうするとうれしくなって、お返しに帽子をカパっととって、大喜びされるという」

                       

                      エロと自虐と笑いのフルセット。あたいが同じ立場だったら、100%同じことすると思うけど、思うけど、それが前世? ぬああああああ!!

                       

                      「えー、やだ! なんで? やだ? どうしてヒモ? なんかもっと社会に貢献したり、格好良いロマンないの?  ヒモなんていややああ!!」

                      「何言ってるんですか!! ヒモは大事なんですよ! ヒモがいなくちゃ困る人はいるんです。パトロンだって、ヒモがいて初めて安らぐ心があるんです。世界にヒモは必要です。だから、いなばさんはいなばさんで良いんですよ!!」

                       

                      最終的に、それがメッセージだったっぽい。

                       

                      「いいですか、あなたの本質はアルベルトです」

                      「…脂ぎってテラっとしてる、お調子者のヒモ気質のおっさんが?」

                      「残念ながらそうです。なので、エロもお笑いも封印したら、どうなるかわかりますか? 想像してください、アルベルトから脂っこさ抜いたら何が残ると?」

                       

                      えー。あー。うん。ただのつまんないチビで禿げのおっさんですね。

                       

                      「ってことはあたいもか。あたいもそうなのか?!」

                      「そういうことです。アルベルトさんは、エロかったかもしれないけど、下品ではなかったでしょう?」

                      「はい、わりと紳士にエロかったと思いますよ」

                      「だったらあなたもそうなれば良いのです。本質を見失わないで」

                       

                      私の。

                       

                      本質って。

                       

                      脂っこい紳士なおっさんのヒモだった。

                       

                      なんかあたいアラフォーで自虐えろネタ話してるとか痛すぎ、上品じゃない、とか思ってたけど。

                      脂っこい紳士なおっさんのヒモなら、むしろそうじゃなきゃつまんなくて、終わってるわけで。

                      よし。

                       

                      「私、エロくてお笑いでお調子者の心を取り戻すよ! 脂っ気抜いてる場合じゃなかった! 誰よりもテラテラして見せる!!」

                      「そうです! いなばさん! もうテラっテラに輝いて!!」

                       

                      というわけで、みなさん、六日坊主でごめんなさいですが、やっぱり枕は「ちょいと小粋なえろネタ日記」に戻そうと思います。

                      「徒然」な話も書いていきますが、うん、なんかやっぱり、えろもネタも大事に醸して行こうと決めました。

                      これからもどうぞよろしくお願いします。

                       

                      ちなみにアルベルトが街かどでナンパしてた巨乳でふくよかなご婦人の一人も、メタボさんだったらしいよ。

                       

                      「あいつ、何度も何度もヒモ養って、それで人生本当に良いの? 大丈夫なの?」

                      「そういうのが好き見たいですよ、なんかワーワー言われながら、強めな感じで押されて流されて面倒見ていくのが…」

                       

                      生まれ変わっても生まれ変わってもめぐり合ってるのはロマンチックだけど、常にヒモとその相手なのが残念すぎ。

                       

                       

                       

                       

                       

                       

                       

                       

                       


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